「ワイルド7」に登場する武器・装備考察

GUN&ミリタリーマニアの本領発揮!というわけでもないが、このコーナーでは「ワイルド7」の準主役である銃やバイクについて触れてみたい。


1.ハンドガン編

ご存知の通り、アメリカではないので、実銃使用の「ステージガン」など使えるわけも無く、インサート丸出しのモデルガンでの撮影!
モデルガンの大御所!MGCが後押ししているので、凄いの何の!

原作では、飛葉「コルト・ウッズマンカスタム」、世界「モーゼル・ミリタリー」、ヘボピー「コルト・ウッズマン」、両国「クロスマン・エアピストル」、チャーシュー「アメリカン・ルガー」、オヤブン「コルト・パイソン」(「シティー・ハンター」の冴羽某と同じですな)、八百「陸式南部」(諸説あるが、「誘拐の掟」編でフレーム部に「陸式」の刻印が1カットだけ登場。)と非常に個性的である。(それがアダになりそうな気もするが・・・)
しかしながら、市場に出回っていたモデルガンも種類が少ないため、原作どおりにいかなくて当たり前。ここは割り切って考えよう。

ブラックスパイダーが使用するハンドガンはワイルドメンバーとほぼ共通のため割愛する。

特筆すべき点は、2話で僅かのカットではあるが、弾丸切れ状態のS&W M44コンバット・オートが転がっていたことや3話で飛葉がSIGP210らしきGUNを使っていたのは感動!渋いチョイスである!1話では一瞬のカットだが世界がワルサーP38、もしくはM34をいじっているシーンも見ることができる。
「ワイルド7」宣伝用(カード等)のスチールでは、よくワルサーP38が登場したが、「ワイルド」放映7ヶ月前に放映されていた「ルパン三世」を意識したものだろうか?

残念なことにこれらのモデルは4話以降から、一斉にブローバックしない電着モデルに変わってしまう。
長谷部監督から直接伺った話では、モデルガンでは火薬量に制限があるため、結果として装弾不良や不発が多発し、電着に変えることになったとのこと。 
その火力の凄まじさは、写真(4話「狙われたミサイル」より)のとおりだが、かえって迫力が出たような気がするのだが。

20話くらいからMGCのテコ入れか、全員がリボルバー・41ハイパトに装備改変!同時期にスパイダーも41ハイパトに装備を統一した(笑)これなら双方弾薬の転用が容易だろう。しかし、なにゆえ携行弾数の少ないリボルバーに?不思議ではある。解釈のしようによってはフレーム強度がオートマチックよりしっかりしていることと、発火ミスがないからともいえるが真相はどうなのだろう?(関係者の方でご存知の方は教えてください)



2.長物編

続いて、劇中に登場する銃について見てみよう。もちろん全てMGC製のモデルガンである。
金属製にもかかわらず(―)インサートで済まされてしまっている。昭和53年規制以前のモデルに時代の流れを痛感する。
いずれも快調に作動している。作品を観るたびにメンテナンスに当たった小道具担当者の労苦が偲ばれる。

<PART1 ワイルドメンバー編>

全エピソードを通じて「ワイルド7」メンバーが使用しているのが、米軍のトンプソンSMG。M1A1M1928が併用されている。
意外なことに、原作と異なり、ハンドガンはメインウェポンではないのである。

トンプソンは「コンバット!」のサンダース軍曹や最近では「プライベート・ライアン」でトム・ハンクスが使用していたのでおなじみの方も多いだろう。
フォアグリップ付きの通称「シカゴタイプ」は「アンタッチャブル」や「俺たちに明日はない」なんかの「ローリング20」もので目にした方も多いはず。
(11話「200km/h心中」なんてもろにその路線でした)
 
エピソードによって50連装ドラムマガジンと20連装通常弾倉が使用されている。当時は紙火薬使用なので火薬詰めが大変だっただろう。 
余談ではありますが、11話「200km/h心中」で団次郎(MATの郷さんが・・・悪役)がトンプソンのドラムマガジンのスプリングを回すシーンがほんの数秒ありました。芸の細かさに感激!

12話くらいから「ワイルド7」メンバーはトンプソンに装備を統一したが、それ以前は、両国・八百がシュマイザーMP40を、世界・チャーシュウがSTENを使用していた。リアリティ追及のために銃を統一したのだろうか?確かに、トンプソン・ステン・シュマイザーの混在は「かなりやばい」!全員の銃の口径があわないので、緊急時に弾があれども使えないという最悪の結果を招くのだ。(さすがに後半はチャーシュウを除いてトンプソンに代わったが)最悪弾切れの際は銃を棍棒にして「のび太くんパンチ」で斬り込むしかない!これは結構恥ずかしい。
  
余談だが、ヘボピー役の笹本氏のお話では、取りまわしが楽なMP40を使いたかったとのこと。何でもトンプソン抱えて走ると「おねえ走り」になってしまうとのことで・・・。先日、縁あってトンプソン(もちモデルガン)に触れる機会があったが、カービン並の全長とグリップから遠いフォアエンド、肩に収まらないバットストックには閉口・・・やはり「アメちゃんサイズ」である。笹本氏の苦労を追体験。


<PART2 ブラックスパイダー編>


生産性を重視したのか、全てイギリス軍のSTENで統一されていることは特筆!2次大戦の急展開で武器の需要が追いつかず、
最低限のパーツで町工場でも簡単に作れたSTENは、武器密造も行っているスパイダーにはうってつけの銃である。
ただ、10話の「最新式のマーク・ステン」というセリフはどうしても無理があるが(70年代には生産されていないだろう。)
もしかしたら改良型を独自開発していたのかもしれない。
また、運用法に関しても「銃と弾薬口径の統一」、「多人数で弾幕をはる」という正攻法。ワイルドよりはるかにおりこうさんである。

しかし、なぜか一発も当たらない・・・。実に不思議である。